9月の上映
『オルエットの方へ』ジャック・ロジエ監督

◆『オルエットの方へ』4Kリマスター版が到着!
ジャック・ロジエの映画は23年も前から私と共にあり、そして『オルエットの方へ』が私にとっての決定的な啓示となりました。 私はこの日、ほんの僅かなことから映画を作ることができ、そしてこの僅かなことを十分に信じてさえいれば、とても大きなものにできることを理解しました。 何よりもまず、私たちはロジエの子供のような視点を再発見し、どこに誘うのかわからない冒険に出発し、予期せぬことや偶然の出来事もゲームのように受け入れ、笑って、たくさん笑って、驚嘆しなければならないのです。 どの作品も、まるで初めて作る作品のように、そしてこれが最後の作品になるかのように取り組む。 思い出になる前に、今を映し取る。 ジャック・ロジエの映画は、常に同じ方向――危険、不確かなもの、自由――を指している不思議な羅針盤のようなものなのです。 ギヨーム・ブラック(映画監督) |
《Story》
9月の初め、パリで働くジョエルは、友人のカリーンと一緒に、親戚のキャロリーヌが持つ海辺の別荘にヴァカンスへ行く。ワッフルを食べたりエビをとったり、女三人、誰にも邪魔されず気ままに過ごしていたある日、偶然を装いジョエルの上司ジルベールが現れる。じつはジルベールは密かにジョエルに好意を寄せていたのだ。
退屈しのぎにちょうどよいとジルベールと一緒に過ごす彼女たち。そんな時、浜辺でヨット乗りの青年と出会い、ジョエルは彼に惹かれていくのだが……。
《Director》
ジャック・ロジェ/Jacques Rozier
1926年11月10日パリ―2023年6月2日テウル=シュル=メール。享年96歳。
高等映画学院(IDHEC)卒業。ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』の撮影に実習生として参加。その後テレビ局で働きながら、初監督作となる短篇『新学期』(1955)を製作。1958年、トゥール短篇映画祭で上映された短篇第二作『ブルー・ジーンズ』がゴダールに絶賛され、ロジエはゴダールと親交を結ぶことになる。1960年、ゴダールからプロデューサーを紹介され、長篇第一作『アデュー・フィリピーヌ』の撮影を開始。同作は1962年、カンヌ映画祭・国際批評家週間に選出される。続く長篇第二作『オルエットの方へ』(1971、カンヌ映画祭・監督週間で上映)と長篇第三作『トルテュ島の遭難者たち』(1976)では、ロジエ作品の特徴となる夏のヴァカンスを描く。1986年、冬の週末の出会いをコミカルに描いた長篇第四作『メーヌ・オセアン』(1985)でジャン・ヴィゴ賞を受賞。2001年、長篇第五作であり最後の作品となってしまった『フィフィ・マルタンガル』をヴェネチア映画祭に出品。同年パリのポンピドゥー・センターではテレビ作品を含めた大規模なレトロスペクティヴが開催された。
監督・脚本・台詞:ジャック・ロジエ | 助監督:ジャン゠フランソワ・ステヴナン | 撮影:コラン・ムニエ | 音楽:ゴング
出演:エリック・ナンチュアング、サリフ・シセ、 エドゥアール ・シュルピス、アスマ・メサウデンヌ
1971年 | フランス | フランス語 | カラー | 162分 | 1.37 :1 | モノラル | 原題: Du côté d’Orouët | 日本語字幕:寺尾次郎 | 配給:エタンチェ、ユーロスペース
© 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA