11月の上映[台湾巨匠傑作選2025]
『赤い柿』ほかワン・トン監督特集
◆『台湾巨匠傑作選2025』厳選連続上映 in 和歌山
シリーズ [再発見:アジアへ行こう] に『台湾巨匠傑作選』が和歌山初登場
アジア映画ファンの皆さま、お待たせいたしました。80年代から世界を席巻した「台湾ニューシネマ」の真髄とその後を知らせてくれる傑作選を、初めて和歌山にお迎えします。昨年より特集されてきた王童(ワン・トン)監督の《台湾近代史三部作》に加え、今年ついに劇場初公開が叶った自伝的最高傑作『赤い柿』を中心に、先月の『冬冬の夏休み』に続く侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督や、エドワード・ヤン監督の作品など選りすぐりの名作を月替わりで連続上映いたします。

◆11月の上映
《日本劇場初公開》

『赤い柿』紅柿子 Red Persimmon
★第33回金馬奨最優秀美術設計賞受賞、最優秀監督賞・最優秀主演女優賞ノミネート
1995年/ 台湾/168分
出演:タオ・シュー、シー・チュン、ワン・シュエン、チャン・シー、ウェン・イン、ファンロン、リン・ヤン
© Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
台湾近代史三部作に続く《家族》の物語
【1949年、上海を発つ|新しい風景、新しい街--僕らはおばあちゃんとともに台湾にわたった】
国共内戦に敗れた国民党軍とともに、王将軍一家も台湾への移動の準備を始める。やがて新天地台湾へやって来た一家は郊外の広い日本家屋に暮らし始めるが、10人の子沢山一家の暮らし向きは父親の退役とともに次第に苦しくなっていく。そんな中、家族の生活を支えていたのが、孫たちに囲まれたおばあちゃんの知恵とユーモアだった―。
《台湾近代史三部作》

『村と爆弾』稻草人 The Strawman
★第24回金馬奨最優秀長編作品賞、最優秀監督賞、最優秀オリジナル脚本賞受賞
★第32回アジア太平洋映画祭最優秀作品賞、最優秀助演男優賞受賞
1987年/ 台湾/98分
出演:チャン・ボーチョウ、ジョウ・シェンリー、ウェン・イン
© 1987 Central Motion Picture Corporation / © 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
【1944年(昭19)|日本による皇民化政策のもと、不条理な状況に置かれた人々のしたたかな生き方を描く】
農村で暮らす小作人の兄弟は上官からの褒美をせしめようと、隣町の駐在所へ不発弾を届けることにするが……
日本統治時代末期、太平洋戦争真っただ中の台湾。農村で暮らす小作人のアファとコウヅエの兄弟は家族とともに貧しい生活を送っていた。母親は耳が遠く、妹は夫を戦争で失って以来、精神を病んでいる。ある日、遠方から地主がやって来て、兄弟に田畑を製糖会社に売り払うと告げる。さらに追い打ちをかけるように日本人に一家の唯一の財産である牛が徴用されてしまう。翌日、村が米軍の空襲を受けるが、敵機が去った後、兄弟の畑に残されたのは一発の不発弾。上官から褒美をせしめようと、兄弟と村の巡査は隣町の駐在所へ不発弾を届けることにするが…。物言わぬ案山子を通して、日本による植民地政策のもと、不条理な状況に置かれた台湾の人々の強かな生き様や戦争の悲哀をユーモアたっぷりにテンポよく描いた。

『バナナパラダイス』香蕉天堂 Banana Paradise
★第26回金馬奨最優秀助演男優賞受賞、最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀衣装デザイン賞、最優秀録音賞ノミネート
1989年/台湾/ 148分
出演:ニウ・チェンザー、チャン・シー、ゾン・チンユー
© 1989 Central Motion Picture Corporation / © 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
【1948年(民國37)|国民党軍にもぐりこんだ青年は大陸から台湾の渡り、他人に成りすまして生きる……数奇な運命を巡る男の半生】
幼馴染みのダーションを頼って国共内戦中の国民党軍に潜り込んだ青年メンシュアンは、寒風吹きすさぶ荒涼たる中国華北から、バナナが実る緑豊かな南国台湾へとたどり着く。その新天地で二人にスパイ容疑がかけられ、メンシュアンは命からがら逃げだす。途中、ある男の臨終に出くわしたメンシュアンは、その妻ユエシャンに彼女の夫に成りすまして仕事に就くことを持ちかけられる…。大陸から台湾に渡り、数奇な運命を辿る男の半生を綴る。日本人の知らない戦後台湾史を、ユーモアあふれるエピソードと奇想天外な展開で描き出す最高傑作!

『無言の丘』無言的山丘 Hill if Bi Return
★第29回金馬奨最優秀長編映画賞、最優秀監督賞、最優秀オリジナル脚本賞ほか
★第38回アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞、最優秀美術設計賞受賞
★第1回上海国際映画祭最優秀作品賞受賞
★第6回シンガポール国際映画祭最優秀主演女優賞、審査員特別賞受賞
1992年/台湾/ 175分
出演:ポン・チャチャ、ホアン・ピンユエン、ヤン・クイメイ
© 1992 Central Motion Picture Corporation / © 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.
【1929年(昭2)|『悲情城市』の脚本家による、日本統治下の台湾で過酷な運命に立ち向かう人々の物語】
大正時代末期~昭和初期、日本統治下の台湾。チュウとウェイの小作人兄弟は両親の葬儀費用のために地主と不当な長期労働契約を結ばされていた。ある日、ゴールドラッシュの噂を聞きつけたふたりは村を抜け出し金瓜石(キンカセキ)へ向かい、未亡人ズーの家に部屋を借りながら劣悪な環境のもと、日本人が管理する鉱山で金採掘に従事する。やがて兄のチュウは強かに生きるズーに、弟のウェイは九份(キュウフン)の娼館で下働きする琉球人娘の富美子に惹かれ始めるが…。貧しい鉱夫の兄弟の視点で、日本人の経営する金瓜石鉱山における台湾人労働者の生活をリアルに描く。